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第445話 匡side
いつまでもこのままじゃいられない。
優生と眠り、朝方目が覚めた。
今日は休みで、まだまだ寝ていてもいい時間なのにどうしても眠れない。
そんな中、優生の寝顔を見て、優生の家族の姿を思い出した。
去年の夏休み以来、優生は家族と会っていないし、連絡も取っていない。
向こうからも何も無いらしく、溝は深まっていくばかりだ。
その原因は優生の兄貴でも、きっかけは俺。
優生を助けたのは俺がも知らないが、1人にしたのも俺。
元の関係に戻すのは違う。
きっと優生も家族を望んでない。
けれど、家族だったあの人達に謝罪をさせるべきだと思う。
「······動くか。」
体を起こし、寝室から出て洗面所で顔を洗う。
「······はぁ。」
まずはどうすればいい。
優生の兄貴に接触するべきか······。
────よし。
朝食を作りながら、計画を考える。
あいつに接触するのは、俺だけの力じゃ無理だ。
誰か、協力者が必要だ。
「兄貴に相談するか。」
全部、上手くいけばいい。
もう優生が傷つくこと無く、幸せに過ごせるように。
***
9時になり、優生を寝かせたまま、兄貴の部屋にお邪魔した。
「千紘は?」
「寝てる。それより朝からどうした。」
「相談したいことがある。」
「相談?」
ソファーに座り、足を組む兄貴は無駄な程綺麗な顔をしている。
「優生の事について。」
「小鹿の?······もしかして、前は言えないって言ってた事か?」
「ああ。未だ話していいのかも悩んでる。でも話さないと、優生が傷つく可能性を無くせない。」
「この件は小鹿にも、千紘にも聞かれない方がいいやつか?」
「そうだな。聞かれたくない。」
そう伝えると、兄貴が突然立ち上がった。
「場所を変えよう。今から実家に行くぞ」
「えっ」
「余程深刻な相談なんだろ?」
兄貴は寝室に行って、まだ眠っている千紘に実家に帰ることを伝えてくるらしい。俺も直ぐに部屋に戻り優生にそれを伝え、急遽兄貴と一緒に寮を出た。
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