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第450話

旭陽の発情期が不定期に起こるから、しばらく学校を休んでいたけれど、ちゃんと卒業できるのかな。少しだけ不安になってきた。 久しぶりの学校で、昼休みにその不安を会長に話すと「大丈夫だ」との言葉だけが返ってくる。 「大丈夫なの?何で?」 「お前は生徒会役員だし、それに最悪俺がいるからな。」 「······権力って怖いよねぇ」 「俺はここぞって時にしか使わないからいいんだ。」 何故かふんぞり返る会長。 でも今はそれがありがたい。 「勉強の方は大丈夫なのか?」 「それが大丈夫じゃないんだよね。もうちょっとで期末でしょ?ちょーっと助けてほしいなぁって」 「俺に?楠本さんは頭がいいんだろ?楠本さんに教えて貰った方がやる気も出るんじゃないか?」 確かに、旭陽に勉強を教えてもらったなら満点を獲るかもしれないくらいにはやる気が出ると思う。 でも今は旭陽に少しの負担も与えたくない。 「だめ?」 「別にいいけど。時間はあるのか?」 「あー······放課後に少しずつ教えてほしいな。」 「わかった。まあ、まだ少し時間はあるからな。」 弁当箱を閉じた会長が、「ところで」と話題を変える。 「あいつはどうなった」 「あいつ?」 「遠野だったか?それから······相良?」 「ああ、あれね。」 旭陽には伝えていない、あいつらのこと。 「なんか、2人上手いこといってるみたい。ということは匠海君はもう前までの体じゃないと思うよ。相良の趣味はどぎついから。」 「連絡があったのか?」 「1度招待を受けたんだ。披露するって言ってたでしょ?でもさすがに断わった。旭陽も匠海君は普通に生活してるって思ってるだろうし。」 今の状況が少しは落ち着く筈の来年の四月頃には、相良に会いたいとは思う。 旭陽を貶めた人間が、どれだけ哀れな姿になっているのかを確認したい。 「悪い顔をしてるぞ。楠本さんには見せない方がいい。」 「うん、ちょっと悪いこと考えてたから。」 こういう自分の黒い部分は、旭陽には絶対に見せられないな。

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