451 / 876

第451話

放課後、とりあえず会長からノートを見せてもらって、それを写真に撮って旭陽の待つ家に帰る。 家に着いて旭陽の部屋を覗くと、昼寝をしていた。お腹を出していたから慌てて布団を掛ける。 「ん······」 「可愛い」 旭陽が寝ていたベッドの縁に腰掛け、髪をそっと撫でる。 「ただいま」 むにゃむにゃと動く唇。ちゅっとキスをすると、旭陽の目がゆっくり開いた。 「······お姫様みたいだね」 キスで目覚めるなんて。 まるで眠り姫だ。 「おはよう、旭陽。ただいま」 「おかえり。······何で、お姫様?」 「ん?キスしたら旭陽が起きたんだよ。」 そう言うと旭陽が体を起こして、俺にもたれかかった。 「やったら、悠介は王子様やね。」 「······まだ眠たいのかな?」 「何でそんなん言うの」 「だって······普段はそんなこと言わないじゃん。可愛い。」 肩を掴み、頬にキスをする。 「学校、どうやった?」 「んー、いつも通り。」 「勉強は大丈夫?」 「うん。後ろの席が会長だし、わからない所は教えてくれるからね。」 旭陽の少し寝癖のついた髪を梳きながらそんな会話をする。 「お爺ちゃんとお婆ちゃんは?」 「ん?見てないけど······。そう言えば靴も無かったよ。どこかに出かけたのかな。」 「ふーん。でももう夕方やからご飯作らなね。あ······俺こんな時間に寝てもうて、夜寝れんかったらどうしよ。」 「俺も一緒に起きておくから大丈夫だよ。」 立ち上がった旭陽とキッチンに移動して、晩ご飯は何にしようかと冷蔵庫を開ける。 「置き手紙あるやん!」 「え、何て書いてある?」 テーブルを見た旭陽が一枚の紙を持ってきた。 「帰るの遅なるって。起こすのは悪かったからって。」 「そう。ならご飯は用意しなくていいのかな。」 「そうやと思う」 今日の旭陽は調子がいいみたいだ。 いつもより笑顔を見せてくれるから、すごく安心した。

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!