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第454話
そろそろ期末テストだ。
去年の今頃も確かそうだったけど、今年も俺は体の異変に悩まされていた。
「また太ったぁ······」
「もう少しで発情期だな。」
「体もいつもより熱い気がするし」
休みの日、ソファーに寝転ぶ偉成の上に乗り、抱き着いて大好きな匂いを嗅ぎながら、不安定になってる精神を落ち着かせていた。
「確かに、少し熱いな。体調は?悪くない?」
「うん。偉成······」
偉成の胸から顔を上げて、キスをする。
「ん、どうした、辛いか?」
「うん、なんか······ずっと燻ってる感じ。テスト前だから誘発させるのは嫌だし······。」
偉成の手が俺のおしりを撫でる。
その手を叩き落として偉成を睨みつける。
「今の聞いてた?誘発させるのは嫌なの。」
「少しの発散もダメなのか?辛いんだろ?」
「······そりゃあ俺だってしたいけど、テストなんだもん······。あ、偉成の力でなんとかならない?」
「何が?」
いいことを思いついたと思って、偉成の上からおりて床に座り、綺麗な顔を見上げる。
「テストの日程ずらすとか?」
「それは無理だな。発情期の届けを出したなら後で試験を受けれるんだしいいだろ。」
「ちがーう!皆と同じタイミングで終わらせたいの!」
ぐりぐりと偉成のお腹に頭を押し付ける。
「オメガやめたい」
「俺は千紘との子供が欲しい」
「······嘘だよ、やめない。そもそもやめれないし。」
起き上がった偉成に頭を撫でられて、そのまま目を閉じる。
「今は少しでも体を休めておこう。」
「うん」
偉成の手に甘えるように、自分から頭を擦り寄せた。
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