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第459話

生徒会室に戻り、特にすることも無くダラダラと過ごしてから寮に帰る。 「ただいま」 声を掛けると「おかえり」と返事が聞こえてきて、荷物を置いて手を洗い服を着替えた。 「早かったね」 「ああ」 もうすぐ来る夏休みも、優生は俺の家で暮らすのだろうか。 別に嫌というわけじゃない。 ただ気まずさもあってか、前みたいに素直に喜べない。 「匡君」 「何」 ソファーに座り、テレビをつけると優生が傍に来た。 優生の方を見ずに返事をする。 「夏休み入ったらすぐに寮出るの?」 「あー······多分。生徒会ですることが何も無かったらそうなると思う。何で」 「僕、ここに残ろうかなと思って。」 「······は?」 思わず優生を見ると、困った様子で、けれど小さく笑みを浮かべていた。 「最近、匡君とちゃんと話せてないし、ちょっと気まずいから。さすがに僕もそこまで馬鹿じゃないから、匡君の迷惑になるなら距離を置こうかなって思って。」 「迷惑じゃないけど······。お前がそうしたいならすればいい。俺は別に止めない。」 そう言うと、優生は傷ついた表情になり、大きな目からポロッと涙を零した。 「優生?」 「······止めてくれないの?」 グラグラと揺れる優生の瞳。 何か間違ったことを俺が言ってしまったらしいが、何がいけないのかはよくわからない。 「気まずいのは事実だろ。」 「匡君なら、どうにかしようって、解決してくれると思った······」 それを聞いて少し呆れてしまった。 「······俺に何をしてほしいんだ?」 「それは······」 「俺はお前に言われた通りにしてる。お前の家族の件に関しても我慢しただろ。それで、また何か我慢すればいいのか?」 ああ、どうしてだ。いつもなら気にならないことなのに。 最近の俺は心が狭い。 「違う」 「じゃあ何だ。俺達は運命の番じゃねえから言葉にしないと気持ちは伝わらない。」 兄貴と千紘のように、匂いで理解できればいいのに。

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