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第469話
ご飯を食べて、すぐに出かける準備をした。
悠介と手を繋いで家を出る。
最寄りの駅までは歩いて、構内に入って電車が来るまでベンチに座って待っていた。
「あつーい」
「もう電車くるからね」
そう言って間もなく電車が来て、それに乗り込む。
冷房がかかっていたから涼しくて自然と口角が緩んだ。
「しんどくなったら言ってね。」
「うん。あ、水族館ってショーとかあんのかなぁ?」
「調べてみようか」
スマートフォンで検索する悠介の指先を見ながら、ぼんやりと考える。
「あ、1時からあるって。ご飯早めに食べていい席取ろうね」
「······なあ悠介」
「ん?」
「悠介はいっぱい我慢してる?」
俺の家に住んでるから、率先して手伝いをやらないといけないって思ってるんやろう。
「我慢はしてないよ?」
「でもな、今朝もご飯作らないとって言うてたし、お婆ちゃんとお爺ちゃんにすごい気使ってるのわかるよ。俺のために一緒にいてくれるのは凄く嬉しいけど、そのせいで悠介の負担になってるんやったら、また別の手を考えないとあかんなって思うねん。」
じっと悠介を見ると、悠介は俺の肩に額を押し当てた。
「負担ではないよ。本当に我慢もしてない。······ただ、今朝みたいなのはちょっと······正直、しんどくなるかな。」
「う、ん」
「旭陽に冷たくされちゃうと、やっぱり辛い。まあ、その後に可愛い姿見れたからいいんだけどね。」
悠介が顔を上げて、俺の唇にちゅっとキスされる。
「うっ、そ、外は······っ」
「何で?俺はいつでもどこでも旭陽を愛してるって証明したいのに。」
「恥ずかしいよ······」
悠介は満足そうに微笑んで、無意識にお腹を撫でていた俺の手の上に、そっと手を重ねた。
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