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第472話 悠介side

「イルカが泳いでる」 「······そんなに見てると冷めちゃうよ?」 「なんか、壊すの勿体ないなぁって思って。」 そう言いながらスプーンを持って、形を崩した旭陽。 酷く悲しそうな顔をするから、思わず苦笑した。 「あーあ」 「それってそんなに気持ち入るものなの······?悲しそうな顔しないでよ」 「あはは、悲しくないよ。わざとそんなリアクションしただけ」 すぐにいたずらっ子みたいに笑って、食事を再開する。 「こんなにあるけど、パフェ食べれるかなぁ」 「じゃあパフェ食べるためにそれ少し残したら?俺が代わりに食べるよ」 「······そうしよっかな」 話をしているとパフェが運ばれて来た。 旭陽が半分程カレーを食べた時で、もう満腹感もあるからかパフェに目移りしてる。 「······悠介ぇ」 「いいよ。パフェ食べな」 そう言うと嬉しそうに笑って、カレーを俺に渡し、パフェを自分に引き寄せる。 「美味しそう!」 「そうだね。」 パフェをぱくっと1口食べた旭陽は、目を見開いて俺をじっと見た。 「美味しい!」 「よかった。じゃあこの残りは俺が食べるね?」 「うん。ごめんね」 チラチラっとあざとく俺を見る旭陽にキュンキュンしながら、旭陽の残したカレーを食べる。 「なあなあ、ほんま美味しいで!」 「うん。でもね、早く食べないとショーが始まっちゃうかもよ?」 「えっ、もうそんな時間っ!?急ぐ!」 急いで手と口を動かしだした旭陽を柔らかい気持ちで見ていた。

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