472 / 876
第472話 悠介side
「イルカが泳いでる」
「······そんなに見てると冷めちゃうよ?」
「なんか、壊すの勿体ないなぁって思って。」
そう言いながらスプーンを持って、形を崩した旭陽。
酷く悲しそうな顔をするから、思わず苦笑した。
「あーあ」
「それってそんなに気持ち入るものなの······?悲しそうな顔しないでよ」
「あはは、悲しくないよ。わざとそんなリアクションしただけ」
すぐにいたずらっ子みたいに笑って、食事を再開する。
「こんなにあるけど、パフェ食べれるかなぁ」
「じゃあパフェ食べるためにそれ少し残したら?俺が代わりに食べるよ」
「······そうしよっかな」
話をしているとパフェが運ばれて来た。
旭陽が半分程カレーを食べた時で、もう満腹感もあるからかパフェに目移りしてる。
「······悠介ぇ」
「いいよ。パフェ食べな」
そう言うと嬉しそうに笑って、カレーを俺に渡し、パフェを自分に引き寄せる。
「美味しそう!」
「そうだね。」
パフェをぱくっと1口食べた旭陽は、目を見開いて俺をじっと見た。
「美味しい!」
「よかった。じゃあこの残りは俺が食べるね?」
「うん。ごめんね」
チラチラっとあざとく俺を見る旭陽にキュンキュンしながら、旭陽の残したカレーを食べる。
「なあなあ、ほんま美味しいで!」
「うん。でもね、早く食べないとショーが始まっちゃうかもよ?」
「えっ、もうそんな時間っ!?急ぐ!」
急いで手と口を動かしだした旭陽を柔らかい気持ちで見ていた。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!