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第473話
食事を終えて、イルカのショーを観に行く。
水槽と近い席に座れて、旭陽も嬉しそう。
「水かかるかもしれんね!」
「え、かかりたいの?」
「ん?そういうことちゃうけど······でも、考えたらちょっとはかかりたいかも······」
子供みたいなことを言う旭陽に思わず笑みが漏れる。
「あ、なんで笑うん!」
「いやちょっと······ふふっ、可愛いなって、思って······」
暫く待っていると人が大勢集まってきて、ショーが始まった。
「わあ!すごい!今の見た!?」
「うん、すごいね!」
イルカ達が高くジャンプをする。
水滴が光を反射しキラキラと煌めいている。
ショーは終わりに近づき、この後3組だけ記念撮影させてくれるとアナウンスがあった。
「行く?」
「写真?ううん、ああいうのは子供さんがおるところに譲ってあげたい。やから俺達も子供が生まれてきて大きくなったら、またここに来ようね。」
「わかった」
旭陽が俺の肩にトン、ともたれ掛かる。
「大丈夫?疲れてない?」
「うん。」
少しするとショーが終わり、集まっていた人達はゾロゾロと場所を移動し始める。
人の流れが少し落ち着いてから、旭陽と立ち上がって手を繋ぎ、涼しい館内に戻った。
「水かからんかったな」
「かかりたかった?」
「でも······よう考えたら綺麗な水やないよな。」
「うん、そうだね。」
「やったらかかったらあかんよな。かからんでよかった」
突然旭陽が足を止める。
どうしたんだろうと声をかけようとすると、いきなり走り出した。
「ちょっ!旭陽ダメだってば!走らないで!」
「なあ見て見て!海月やで、ほら······綺麗······」
海月がフヨフヨと泳いでいる水槽。
照らしている光はゆっくりといろんな色に変わり、なんだか神秘的で、俺達はしばらくその水槽から離れられなかった。
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