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第475話
「進学か。正直大学に行ってから家の仕事を継いでも遅くないとは思っている。」
「······じゃあ、進学するの?」
「そうだな。その方が何かをしたいと思った時に役に立つかもしれない。」
でも、高校を卒業すれば結婚して、子供だって······前にそんな話をしていたのに。
「子供は?」
「······わかってる」
「偉成が進学する事を止める権利はないけど、せめて······少しくらい、話して欲しかった。」
卒業したら、偉成ともうずっと一緒にいれると思っていた。
「悪かった。俺もまだ悩んでいたから······」
「ううん······。ごめんね」
寂しい気持ちが心に巣立った。
「千紘、夏休みはずっと実家で暮らすのか?」
「······わかんない」
「家には来ないのか?」
「だって、勉強するでしょ。邪魔したくない」
どうしても意地になってしまう。
偉成は悪くないのに、冷たく当たっちゃう。
「わかった。なら、俺がそっちにお邪魔する。」
「は?いいよ来なくて」
「そんな寂しいこと言うな。千紘に会いたい。ダメか······?」
俺だって本当は会いたい。
でも······
「嫌だ。ダメ」
口から出た声は思ったよりも冷たくて、逃げるように電話を切った。
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