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第477話

「俺は千紘に相談しなかった。千紘からすれば裏切りに似たような行為だと思う。」 「お前の人生をお前が決めて何が悪い。」 「悪くても、そうじゃなくても、千紘を悲しませた時点で俺が悪いんだ。」 小さく笑いながらそう言うと「馬鹿らしい」と誉が呟く。 「お互いを尊重し合えない関係ならやめてしまえ。お前だけが松舞を気にかけているようにしか見えない。」 「そんな事は無い。もうこの話はやめよう。いい加減に決めないといけないことがあるだろ。」 俺達はそろそろ生徒会を引退しないといけない。 「会長は匡でいいだろ。」 誉のその言葉にコクっと頷く。 「副会長はどうする。匡を支えるなら今までずっと生徒会の仕事を見ていた千紘に任せたいとは思うが······」 「発情期が来た時に何も出来ないだろ。副会長は割と忙しいんだぞ」 そう言って俺を睨む誉。 日頃から誉が動いてくれているのは知っている。俺が千紘の発情期で休んでいる間、生徒会を動かしてくれているのは誉だ。 「すまない」 「別に謝って欲しいわけじゃない。······そもそも松舞には生徒会役員は無理だろう。発情期がある度に周りが松舞の仕事をしないといけない。それで困るのは周りだけじゃないだろ。松舞自身も申し訳ないと落ち込むはずだ。それなら今までと同じ補佐でいいだろ。」 「······その通りだとは思う。けど、それで千紘が納得するかと聞かれれば首を縦に振れない。千紘はオメガのせいだという理由では納得しない。」 きっと、必ずやってみせると言うんだろう。 周りには迷惑をかけないで、仕事だってするって。 「······オメガという性を馬鹿にしてるわけじゃない。ただ、重要な役割を担っていて何かがあった時に辛いのは松舞自身だ。」 「······言い聞かせるしかないな。」 今はただでさえ気まずいのに、この話をするのは億劫だなと思いながら、誉との話を続けた。

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