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第479話
その日はカップ麺を啜り、風呂に入ってすぐに眠った。
シーツから微かに香る千紘の匂いに癒されながら深く眠り、朝はスッキリと目覚めた。
「電話······」
スマートフォンを手に取り、意を決して千紘に電話をかける。
しばらくすると電話が繋がり、「もしもし」と眠そうな声が聞こえてきた。
「おはよう、千紘」
「······ん、おはよぉ」
少し掠れた声が可愛らしい。
目の前にいたなら抱きしめて、何度もキスをしているところだ。
「話したいことがあるんだ。」
「でも······俺ね、眠たいよ······」
「そうか。それなら無理だな」
眠たいという千紘を起こしてまでする話では······あるが、可哀想だし。
「······ううん、起きるよ。何?何の話?昨日の続き?」
「それもあるけど、生徒会の話もしたい。」
「ふーん······生徒会の話って、何かあったっけ。」
少し考えてから、まずは大学について話すことにした。
「勝手に進学する事を決めたのは悪かったと思ってる。千紘と子供が欲しいという話もしていたし、俺もそうだと思っていたから。けど、学べることは学んでおきたい。後から挑戦する術もあるが、今だから分かることだってあると思う。」
「······別に、反対したわけじゃない。やりたいならやればいいと思うよ。ただ、それを決める時に話して欲しかっただけ。だって俺は卒業したらまた3年待たないといけないんだもん。俺は······進学しないで偉成と一緒にいれると思ってたから······。ただの我儘だよ。······ねえ、もうこの話はしないで。」
これ以上、このことについて考えるは嫌らしい。
今は無理でも、また千紘の気持ちが落ち着いた時に話すしかないのか。
「じゃあ······生徒会の事」
「うん」
これも、千紘は受け入れてくれるだろうか。
言葉を選び少し緊張しながら、生徒会の今後について説明した。
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