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第485話

生徒会室に入り、もともと協力してくれようとしていた匡に「自分で頑張ってみる」と伝えた。 高良先輩は皆にうまい事言って、俺と偉成を廊下に放り出した。 「じゃあねえ」 「······高良、お前は何を考えて······」 「会長も千紘ちゃんも、言わなくても伝わるなんてことは無いよ。」 それだけ言うと、ドアが閉められる。 気まずい空気が流れるけど、きっとこれはもう少しでなくなる。 「偉成」 「あ、ああ······」 「······寮で、ちゃんと、ゆっくり話······あの、俺からいつも電話切ったりしてたけど、やっぱり······えっと、話、したい······」 顔を見れなくて、俯いたままそう伝えた。 「わかった。帰ろう」 偉成は落ち着いた声で返事をして、寮に向かって2人で歩く。 「電話、切ってごめんね。」 「いや、いいんだ。」 それ以外は会話は無く、久しぶりの寮に帰り服を着替えて手を洗い、ソファーに座った。 「話、してもいい?」 「ああ」 ふぅ、と息を吐いて意を決して偉成を見る。 匡が言っていた通り、確かに少し窶れている気がする。 「大学の事はもうわかった。それは偉成が決めることだから、俺はもう何も言わない。卒業して、3年間は我慢する。」 「······ありがとう」 「俺が嫌だったのは、オメガっていう性別だけで俺の意思とは関係なく、生徒会の事を決めたこと。偉成はもっと······俺の事をわかってくれてると思ってたから。」 ボソボソと話すと、偉成が俺の隣に座って、そっと抱きしめてきた。 大好きな偉成の匂い。久しぶりに嗅ぐ。 いつものおおらかで包み込むような優しい匂いの中に、今日は不安の匂いもする。 「そんなつもりじゃなかったんだ。千紘が少しでも負担に思わないようにしようと思って······」 「うん」 「千紘が必要じゃないとか、使えないとか、そうじゃない。わかってくれ」 「······うん。わかった。······それでどうするの?結局他のアルファを生徒会に入れるの?俺は······正直、性別に拘らずにやりたいと思う人を入れた方がいいと思うけど。」 俺は性別を気にしないでいようと思っているくせに、性別を1番のコンプレックスに感じてる。 「そう、だな。アルファに限らず、やる気のある生徒がやるのが1番だな。」 「······だから、俺も立候補していい?」 ダメって言われたらどうしよう。 後先考えずに偉成に聞いてしまった。 怖くて、俯いたままじっと動かずにいると、優しく髪を撫でられる。 「ああ。俺も千紘のしたいことを応援しようと思う」 「······ありがとう」 フッと心が軽くなった。 偉成が理解してくれたんだとわかると、一気に体の力が抜けた。

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