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第488話

行為が終わり、偉成の膝に座り抱きしめられていた。 「······ん、くすぐったい」 何度もキスをされ、肩や首にいくつもキスマークがつけられる。 偉成に凭れて、体から力を抜く。 「腰摩って」 「ああ」 温かい手が腰を摩る。 感じていた違和感がマシになって、「はぁ······」と息を吐いた。 「風呂に入らないとな」 「······まだいいよ」 「でも体が冷えるから。運ぶよ」 抱っこされてお風呂場まで運ばれる。 「お風呂沸かしてないよ」 「シャワーで済ますしかないな」 夏だし、お風呂には浸からなくても大丈夫か。 髪と体を急いで洗って、体が冷えないように直ぐにタオルで拭いて服を着る。 「千紘、髪乾かすからここ座って」 「はーい」 偉成に甘えてドライヤーで髪を乾かしてもらう。 鏡の前に置かれた椅子に座って、ぼんやりと偉成を見る。 やっぱり、窶れたよな。 「ちゃんとご飯食べてた?」 「え?ご飯?」 「うん。夏休みの間」 偉成は頷いて「食べてたよ。」と言う。 「じゃあ、ちゃんと寝てた?」 「······まあ、寝てた。」 「今嘘吐いたね。寝てなかったの?」 「······寝れなかった。」 まだ乾いてないのにドライヤーの風が止んで、不思議に思って振り返ると、強く抱きしめられた。 「千紘に嫌われたらどうしようと思って、不安だった。もし離れたいって言われたらって考えると、怖くて怖くて眠れなかった······。」 偉成の背中に手を回し、そっと撫でる。 「ごめんなさい。突き放すようなこと言った。」 「いいんだ。全部俺が悪かった。だから······こうやってちゃんと話せて嬉しい。」 暫く抱き合って、お互いの存在を確かめ合う。 偉成と出会ってから、こんなに長く触れ合わなかったことはなかったからか、乾いていた心が潤っていくような感覚。 「なんか······俺が招いたことなのに、こうやって触れることができて泣いちゃいそう······」 「俺もだ。千紘は温かいな。」 今日はこうやって抱き合って夜を過ごしたい。 そして朝は笑っておはようを言い合うんだ。

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