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第489話 偉成side

目を開けると千紘が腕の中にいて、久しぶりにこんなにぐっすりと眠れた気がした。 「············」 ぼんやりと千紘を眺めて、存在を確かめるように強く抱きしめる。 「う······っ」 「あ、ごめん」 苦しそうな声を上げた千紘に謝って体を離すと、薄く目を開けて俺を見る。 「おはよぉ」 「ああ、おはよう」 俺の上に乗った千紘が、またそのまま眠りにつこうとする。 「遅刻するぞ」 「······それは困ったね」 「ご飯作ってくるから起きて」 腹筋を使って上半身を起こすと、自然と千紘も体を起こすことになって、嫌そうに口を歪ませた。 「ご飯できるまでは寝てていいけど······」 「やった」 「その代わり起こしに来たらすぐ起きてくれ。結構時間ギリギリだから」 そう言うと千紘は頷いて、もう1度ベッドに寝転んだ。 千紘は朝が弱い。かといって夜に強いわけでもない。 顔を洗い、歯磨きをしてから朝食を用意して千紘を起こしに行く。 「千紘、起きて」 すぐに起きると言っていたのに、千紘は駄々を捏ねて、俺の枕に顔を埋めた。 ······なんて可愛いんだ。 「起きるって言ってただろ」 「······」 「こら、起きなさい」 千紘の肩に触れる。 そこで違和感を感じて、枕に埋めていた顔を、体を仰向けにさせて見た。 「千紘?」 「······ん」 いつもより少し顔が赤い。 首に触れると思っていたよりも熱くて、ハッとした。 「千紘、しんどいのか?」 発情期にしては時期が早い。 発情期でもないのに体が熱くて、少し呼吸も速いとなると、体調が悪いに違いない。 「病院に行こう······いや、まだ開いてないな。とにかく今日は学校を休んで······」 目を開けた千紘が「寒い」と言う。 急いで布団を掛けてあげて、学校には休むと連絡を入れた。

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