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第490話
病院が開く時間になり、千紘を背負って寮から出た。
「悪いな、少し我慢してくれ。」
「······俺の方こそ、ごめんなさい······」
「謝らなくていい。寒くないか?」
「うん」
タクシーを拾い、病院まで連れていってもらう。
千紘が俺の膝を枕にして寝転び、荒く呼吸をしているのが可哀想で仕方ない。
病院に着いて千紘をまた背負い、手続きをして待合室で待っていると直ぐに呼ばれて、千紘の体を診てもらう。
熱が高くて水分もあまり取れていないから点滴をすることになって、ベッドに寝転び点滴を受ける千紘の隣に椅子を運んで座った。
眠ってる千紘の額にかかる前髪を退けてやる。
「ん······偉成······」
「すまない、起こしたか。」
「······大丈夫。手繋いで」
千紘が望む通り手を繋いでそのまま点滴が終わるまで待っていた。
時間が経ち、点滴が終わり、薬をもらって会計を済ませ、寮に戻る。
「寝てような」
「······1人やだ」
ベッドに寝かせると、手を握られて離れられない。
「でも昼ご飯も作らないと。」
「······要らない」
「それはダメ。少しでいいから食べて」
やんわり手を離させて、寝室を出てキッチンに立つ。
そんなに食欲はないだろうから、柔らかく煮たうどんを用意して寝室に運ぶ頃には千紘はまた眠っていた。
申し訳なく思いながらも軽く肩を叩いて千紘を起こし、うどんを食べさせる。
「食べれるだけでいいからな」
「······熱い」
「ああ、冷まさないとな」
フー、フーと息を吹きかけて冷まし、うどんを千紘の口まで運ぶとゆっくりと啜って咀嚼し、飲み込んだ。
その1連の様子が何故だかエロく見えて、密かに胸が高鳴っていた。
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