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第498話
「疲れたか?」
「あー、ううん。大丈夫」
正直、発情期が近いと意識すると体が重たくなってきた。けれどあまり気にせずにへらっと笑ってみせる。
「体が重い?」
「······うん、ちょっとだけ。」
偉成に隠し事をするのは無理らしい。
持っていたバッグを取られ、靴を脱ぐ。
服を着替えると直ぐにソファーに寝かされて、起き上がろうとすれば額にキスをされた。
「俺には正直に言ってくれ。隠されると堪らない。千紘が傷つかないようにもっともっと守りたくなる。千紘を隠しておきたくなるんだ。」
「隠す?」
「ああ。まあ、言ってしまえば監禁だな。」
その発想が少し怖いけど、アルファはそういうものなんだと理解するしかない。
「俺別にしんどくはないよ?ちょっといつもより体が重いなぁって思っただけ。動けるし、大丈夫だよ?洗濯物も畳まないといけないし、お風呂も洗わないといけないでしょ?」
「それくらい俺がやる。千紘はここで寝てろ」
「······じゃあ、ご飯作る」
「だめ。」
少し体を起こそうとしたら、肩を掴まれてキスされる。そのままソファーに寝かされて、唇が離れた。
「大人しくしてること。わかった?」
「······わかった」
「いい子だ。愛してるよ」
「っ、お、俺も······」
不意打ちの愛してるはかなりクる。
すごくキュンキュンして吃ってしまった。
偉成が離れていって、俺はソファーに1人寝転がったまま、その気持ちを落ち着けようと、別のことを考えることにして、今回の発情期は生徒会に迷惑をかけないように軽いものであったらいいなと思った。
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