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第499話
用意されたご飯を食べれば、お風呂が待っている。
全てのことを短い時間で終わらせた偉成。
「いただきます」と言って手を合わせると、偉成も同じようにして食事を始めた。
「美味しい!チキン南蛮?」
「ああ。タルタルソースも作ってみたんだ。」
「あの短時間ですごいね······。ありがとう」
食べ過ぎてお腹が膨らむくらいにいっぱいになった。
ご馳走様の挨拶をして、食器を運び洗おうとすると、すぐに偉成がやって来て、皿洗いを代わるように言われる。
「これぐらいするってば。しんどくないんだよ本当に!」
「いいから」
「······ダメ人間になりそう」
「ならないよ。素が素敵だから」
思わず口がポカンと開いてしまう。
どうしたんだ。今日の偉成はどこかおかしい。
「何かあった?」
「ん?」
「いつもと違う。どうしたの?」
皿洗いを終えた偉成。腰を抱き寄せられて、体が密着する。
「多分、生徒会を引退してから前より千紘といる時間も減ったし、千紘が頑張ってる姿を見たら甘やかしてやりたいと思うし······まあなんだ、そんなところだ。」
「それにしては甘やかしすぎじゃない?偉成の負担になる事ばかりしたくないよ」
「負担じゃない。それより千紘、風呂に入ろう。」
鼻先同士がちょんっと当たる。
手を伸ばして偉成に抱き着くと、背中に手が回って包まれているような感覚がした。
「好き」
「俺もだよ。」
ちゅっとキスをすると、偉成は目を細めて、小さく笑ったかと思うと舌が絡められる。
気持ちいい。ふわふわする感じ。
唇が離れると、もっともっと欲しくなってしまう。
「もっとキスしたい······」
「いや、このまま続けたら最後までしたくなる。それでもいいのか?」
「いいから」
偉成の服の中に手を入れて、肌に触る。
こういうの久しぶりだなって思いながら、もう1度激しいキスをした。
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