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第503話
***
文化祭を明日に控えた今日。
生徒会での最後の打ち合わせが終わった。
「あー!疲れた!」
寒沢君がソファーの背もたれに沿ってググッと伸びをする。
「寒沢君、それ捨てるから取って」
「へいへい」
寒沢君から廃棄するプリントを預かって、シュレッダーにかける。
「明日は特に生徒会の仕事はない。でも遊ぶついでに見回りはしておいてくれ。何かあれば報告。以上解散。」
「あっ、匡待ってよ!一緒に帰ろうよ!」
荷物を持って部屋から出ていこうとする匡を呼び止めると、寒沢君が「やめとけ」と言って俺の腕を掴んだ。
「赤目、俺達が一緒に帰るから心配すんな」
「ああ、頼んだ」
結局匡は出て行ってしまって、俺は寒沢君をジロっと見る。
「怒るなよ。赤目のやつ色々溜まってるんだって。どうやら最近、番とあまり長い時間一緒に過ごせてないみたいだぞ。」
「え?優生君と?」
寒沢君はコクっと頷いて、井上君は「もうそろそろ爆発するんじゃない?」とくすくす笑ってる。
「何で2人はそんなこと知ってるの?」
「だって······明らかにそういう顔してるし。急いで帰って今夜はイチャイチャしてるんじゃない?明日小鹿君が無事に文化祭を楽しめたらいいけどね。」
そんな話を聞いて、優生君が少し心配になった。
確かに、匡は最近毎日遅くまで文化祭に関する仕事をしていたから、優生君と過ごす時間が少なくなっていたと思う。
「松舞君は大丈夫なの?赤目さんとの時間」
「あー、うん。偉成は特になんとも······」
と思ったけど、この間偉成の様子がおかしかったことを思い出した。
「いや、なんかちょっとおかしいことがあった······」
「あらら。じゃあもしかすると、松舞君も文化祭が終われば大変かもねぇ」
井上君と寒沢君はニヤニヤ笑っていたけど、俺は正直どうしようと不安に襲われていた。
いや、でも、今はまだ大丈夫だけど、俺もそろそろ発情期が来るし、これはいいタイミングなのかもしれない。
そう思うことにして、俺も帰る準備を済ませ、井上君と寒沢君と一緒に寮に帰った。
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