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第522話

東條が部屋の鍵をくれて、礼を言ってすぐに部屋に向かう。 行ってみて気付いたがここ、スイートルームじゃないか。 わざわざこんないい部屋を取るなんて。 「千紘、ジャケット脱ごうな」 「ん······」 ジャケットだけを脱がせようとしたのに、千紘は服を脱ぎ散らかし、下着姿になってベッドに寝転んだ。 「ふわふわ······気持ちいい。寝る······」 服を拾って皺にならないようにハンガーに掛ける。 掛け布団を掛けて、すやすやと眠る千紘の額にキスをして離れた。 どうせ1泊するんだ。先に風呂に入ろう。 いやでも、下着を買いに行かないといけない。 「ちょっと出かけるか」 ジャケットを脱いで、千紘が起きた時の為に置き手紙を置いて部屋を出る。 近くにコンビニがあった。そこで下着を買えばいい。 パーティーの雰囲気に少し疲れていたのか、1人で道を歩くのが気持ちよくて、もう少し歩いてどこかに行こうかなと思ってしまう。 スマートフォンで地図を見れば、すぐ近くにショッピングセンターがあるのがわかって、そこまで足を延ばすことに決めた。 もしかしたら目を覚ました千紘に怒られるかもしれないけれど、気分転換にはちょうどいいし、ショッピングセンターまで行ったなら下着だけじゃなくて明日の着替えも買えるから納得してくれるだろう。 目的地に着いて、下着と一緒に明日の服も買った。 千紘に似合うと思った服がいっぱいあったから、思っていたよりも大荷物になった。 帰りはちょっと大変だけど、タクシーを拾うほどでもないし、ゆっくり歩いて帰ろう。 「千紘はまだ寝てるかな」 千紘が眠ってる間に帰って風呂に入るっていうのが俺の計画。その通りに行けばいいけど、と思いながら道を歩いた。

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