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第523話 千紘side

体が熱い。 頭がふわふわする。 ゆっくり体を起こすと初めて見る部屋だった。 どこだここ······。 しかも何故か自分は下着姿で、ふかふかなベッドに寝かされていたらしい。 「······パーティーがあって、皆でご飯食べてて······あれ、それからどうしたんだっけ。」 考えていると頭痛がしだして、いそいそとベッドを降りた。 水が飲みたい。冷蔵庫に入っていた水を取りガブガブ飲む。 ふと、机の上にメモがあるのを見つけてそれを手に取り読むと、買い物に出かけるという偉成からのメッセージだった。 「買い物······何でだ。パーティーだったはず······ハッ!そうだ、お酒飲んだんだ!」 変なことしてないかな。 大丈夫かな。 偉成にはもちろん、東條先輩や高梨先輩に迷惑をかけてなきゃいいけど。 「大丈夫かな······」 ああ、頭が痛い。 床に座り込んでると部屋のドアが開いて、両手に荷物を持った偉成が立っていた。 「千紘?大丈夫か?」 「ごめんね俺、お酒飲んじゃったんだよね······。迷惑かけてない?」 「大丈夫だ。それよりそんな所に座ってないで、椅子に座れ。」 荷物を置いた偉成に手を取られて椅子に座らされる。 「気分は悪くないか?頭痛は?」 「頭痛くてお水飲んだ。勝手に取ったんだけどよかったのかな。」 「いいよ。風呂に入ろうか」 「風呂?え、ここに泊まるの?」 聞くと頷いたから、改めて部屋を見回した。 「······この部屋って、もしかして······あの、もしかしなくても、スイートルーム?」 「ああ」 「えぇ······何で?俺が酔ったからなら車に放っておいてくれたらいいのに······スイートルームなんて値段高いに決まってるじゃん」 「気にしなくていい。それに千紘を車に放置だなんてできるわけがないし、そんなことしたくもない。」 まるで壊れ物に触れるかのような優しい手つきで頭を撫でる偉成。 心地よくて目を伏せると、キスをされた。 「風呂に入ろう。お湯をためてくる。」 「うん。あ、買い物って何買ったの?」 「着替えだ」 紙袋の中から下着を取りだした偉成。 本当に泊まる気なんだ。そう思いながら苦笑を零した。

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