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第530話
その日の夜、出掛けていた旭陽先輩のお爺さんとお婆さんにも会って、学校の話をしたりした。
ここには優しい人たちしかいなくて、自然と笑顔が浮かぶ。
「あ、千紘、風呂入っといで。話しすぎてもうたな。明日も学校やのに」
「え、あ、本当だ。もう9時だ」
時計を見て驚いた。
旭陽先輩に促されてお風呂を借りる。「ゆっくり入っておいで」って言われたけど、急いで入った。
こんな時間だし、迷惑かけちゃダメだと思って。
「お風呂いただきました!」
「はーい、悠介入っといで。」
「これ敷いたら入る」
旭陽先輩達がいる部屋に行くと布団を敷いているところだった。
「今日は川の字で寝るねんで。千紘が真ん中ね」
「え、何で?2人でくっついてた方がいいんじゃないですか?」
「たまにはいいかなーって。千紘が泊まりに来ることなんて滅多にないんやし!」
布団を敷き終わった高良先輩がお風呂に入りに行って、俺は旭陽先輩と2人きりになった。
「高良先輩も旭陽先輩もすごいな」
「え、何が?」
ずっと思ってたことを口にする。
旭陽先輩は不思議そうに首を傾げた。
「だってお互いの事を理解し合ってる。喧嘩もしないでしょ?」
「確かにしやんなぁ。でもそれは悠介がそうならんように上手いことしてくれてるだけやと思う。」
「上手いことって?」
「んー、俺もあんまりわからんけど、俺が嫌やって思うようなことは絶対にしやんし、逆に嬉しかったり、楽しくなるようなことはいっぱいしてくれる。」
嬉しそうに頬を緩める旭陽先輩。
それがすごく可愛くて、それから素敵だと思った。
「高良先輩は旭陽先輩のこと大好きなんですね。」
「俺も悠介に負けへんくらい悠介が好きやけどね」
きっと高良先輩が卒業したら、旭陽先輩と高良先輩は結婚するんだろう。
その未来が早く来てほしい。
1番の楽しみになった。
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