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第531話 偉成side

朝、千紘と嫌な雰囲気で別れてしまった。 ちゃんと説明しない自分が悪いのはわかっている。 今日は高良と一緒に帰り、楠本さんのお家に泊まるらしいから、明日は話をしたい。 「偉成君!」 そう思っていた放課後、教室までやって来た宮間。 高良は俺を振り返って「早く何とかしなよ」と言ってくる。 そんなことはわかってる。俺だって早く平穏な日常に戻りたい。 「今日は番の人帰ってこないんでしょ?偉成君の部屋に泊まっていい?」 「ダメだ。そもそも生徒会のアルファを番を持っていないオメガはアルファの寮に入れない。」 「え?でも偉成君は生徒会を引退したから番の人もダメなんじゃないの?」 「卒業まではいいんだ。今の生徒会役員たちは俺達が卒業したら部屋に移動することになってる。」 説明してる間に手を取られる。 高良がジト目で俺を見てスっと立ち上がった。 「じゃあ、帰るね。」 「高良さん、また明日!」 「バイバイ」 高良が席を立ち、若干の心細さを感じて溜息を吐く。 「偉成君、どうしてもダメ?」 「部屋に泊まるってやつか?ダメだ。」 「昨日は部屋にあげてくれたやん!」 「あれはお前が不法侵入したんだろうが」 昨日、学校が終わり千紘が好きな料理を作ろうと思いながら帰り、部屋のドアを開けた。 そこまではよかったんだ。 部屋に入り、ドアを閉めようとすると、その数センチの隙間に足が入れられて閉めることが叶わなくなった。 呆気にとられていると、ドアに手がかけられゆっくりと開く。 「赤目さん」 「······宮間さん、何でここに······」 そこに立っていたのは笑顔の宮間で、正直驚きよりも恐怖が勝っていた。 「不法侵入なんて人聞きの悪い」 「本当の事だろう。帰れって言っても無理矢理上がってきたじゃないか。」 「だって相談したい事があったんやもん」 もう1度溜息を吐きたくなるのを堪えて立ち上がる。 「相談なら聞いてやる。けど部屋はダメだ。」 「じゃあどこで聞いてくれるのさー!」 「ここじゃダメなのか」 周りには俺のクラスメイトがいる。 やはりそれは話しづらいらしく、結局空き教室に入ることになった。

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