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第542話

夜になると、ここに泊まると言い出した偉成は、匡と優生君に引き摺られるようにして帰っていった。 1人で寂しい夜を過ごすのは久しぶりだ。 今日は偉成と一緒に帰って色々説明してもらいたかったのに。 「帰りたい」 そう言えばずっと放置していたスマートフォンを取り出して画面を見ると、高良先輩からメッセージが来ていた。 朝俺が聞いたのと同じ噂と、俺が倒れたって話を聞いたらしい。 すごく心配してくれていて、メッセージじゃなくて電話をかけた方がいいのかな、と思いベッドから降りた。 電話を掛けてもいい場所まで移動して、高良先輩にかけるとすぐに出てくれた。 「千紘ちゃん!」 「あ、高良先輩。メッセージありがとうございました。もう大丈夫です。」 「本当?無理しちゃダメなんだよ。千紘ちゃんは頑張りすぎるところがあるから、何かあれば頼って。俺にでも、もちろん、会長にもね。······噂を聞いたけど、あんなの絶対に嘘だから。昔会長に言われたんだ。解消するくらいなら番になるなってね。」 そんなの初めて聞いた。 どうやら、昔俺が高良先輩と偉成の間で揺れていた時に、そんな話をしていたらしい。 「俺にそう言ったんだ。会長が自分の言葉を曲げるわけがない。だから大丈夫。」 「うん」 「元気になったら会長を怒ってやりな。軽率にそんな噂流されるようなことをするなって。」 くすくす笑うと、高良先輩も小さく笑った。 そのあとはすぐに電話を切って、病院に戻る。 もうすぐで消灯時間。 トイレに行ってベッドに入り、電気が消えるのを見てから、ゆっくり目を閉じた。

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