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第559話
兎に角真緒の家に行く事になって、重たい沈黙の中、温かい家に着き、お母さんは真緒を部屋で寝かせると、俺の待っていたリビングにやって来た。
「実は······一昨日、真緒の姉の真子の友達が数人家に来ていて······」
「はい。真緒から聞いてました。お姉さんの友達が家に来るって。」
「······その子達が、真緒の事を襲ったの。」
お母さんは両手で顔を覆いそのまま涙を流す。
俺は頭の中が真っ白になって、どういうことが理解しようと思うのに、上手く考えられない。
「で、も······真子さんも、いたんですよね······?」
「······真子も、抵抗できないようにされてたみたいで······」
どうやら、真子さんは拘束され、真緒はその目の前で強姦されたらしい。
友達の中には女子も居たけれど、途中で帰ってしまって残ったのは男子だけだったと。
嫌がる真緒を無理矢理犯して、お母さんが真緒達を見つけた時は、真緒は血と白濁で汚れたまま、気を失っていたらしい。
「すぐに救急車を呼んで処置をして貰ったけど、真緒は······」
嗚咽に言葉を遮られる。
俺は相変わらず理解が追いつかなくて、ドッドッと嫌な音を立てる心臓と荒くなる呼吸を落ち着けようと深く息を吐く。
その時、真緒の叫び声が聞こえて、急いで真緒の部屋に駆け込んだ。
そこで、ベッドの上で泣きながら手足を小さくバタバタとさせる真緒を見た。
きっと襲われた時に手足を押えられていたんだろう。自由が利くはずの今も、少ししか動かせていない。
「やだ、やだぁっ!」
「っ、真緒」
幻覚を見ているのか、何かから必死で逃げようとしてる。
後を追ってきたお母さんはそんな真緒を見て、泣き崩れた。
そっと真緒に近づき、頭を撫でる。
「真緒、大丈夫だよ。誰もいないよ」
「っ、や、だぁっ!痛い、痛いよぉっ!」
泣いて暴れ続ける真緒を見て、俺も苦しくなってくる。
目頭が熱くなって、唇を噛んだ。
「真緒」
遂に堪えきれなくなった涙が頬を伝う。
ポタッと、それが真緒の頬に落ちると、動きが止まって、真緒の目がやっと俺を見る。
「あ、ぁ······ほまれ、くん······」
「うん。俺だよ。真緒」
抱き締めると真緒は大声をあげて泣いた。
俺は何も出来なくて、ただ頭を撫でながら真緒が落ち着くのを待つしかなかった。
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