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第563話
泣き続けて、いつの間にか眠ってしまっていた。
目を開けると部屋は暗くて、しまったと思いながら体を起こす。
「······え、真緒······?」
そして異変に気付いた。
隣に真緒がいない。
慌ててベッドから降りて家の中を探し回った。
「あら、誉君。」
リビングに行くとお母さんもお父さんもいて、けれど真緒の姿はない。
「真緒はっ!?」
「え?一緒に居たんじゃないの?」
体から血の気が引く。
慌てて玄関に走ると、真緒の靴が無かった。
急いで靴を履いて家を飛び出す。
どこにいるんだ。
今、何をしてるんだ。
まだ1人で外を歩けるような状態じゃなかった。
歩くのもいつも支えていたほどなのに。
遠くには行っていないはず。
探し回るけど見つからなくて、息が切れ、冬なのにも関わらず汗をかいている。
真緒、真緒······っ
「どこだよっ!!」
いくら名前を叫んでも返事が無い。
こんなに寒いんだ。
きっと外にいたんじゃ風邪を引いてしまう。
早く見つけてあげないと、真緒は寂しいと泣いてしまう。
いつの間にか空は明るみ始めていて、走り回った足には痛みを感じる。
そんな時、スマートフォンが音を立てた。
画面を見ると真緒のお母さんからの電話で、もしかして真緒が家に帰ってきたんじゃないかと思って慌てて電話に出た。
「真緒はっ」
真緒の事を聞いてもお母さんは泣いているばかりで何も言わない。
「帰ってきましたかっ?今、家にいるんですか!」
胸が痛い。
もうおかしくなってしまいそうなくらいに苦しい。
「······真緒が、見つかったの」
「っ······!」
声も出せずに力が抜け、地面に座り込んだ。
よかった。真緒が見つかった。
早く帰らないと。長い間外にいたから、寒くて震えてるはずだ。
「すぐ帰ります、真緒は元気ですか?怪我してませんか。風邪ひいてたり······」
立ち上がって、家の方に足を向ける。
再び走り出そうとした時だった。
「遺体で、見つかったの······っ」
その瞬間、思考が停止した。
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