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第564話

それからどうやって帰ったのか覚えていない。 真緒の家に帰れば警察が居て、お母さんが泣き崩れていた。 お母さんの隣でその背中を撫でるようにしてお父さんも泣いていて、真子はわなわなと震えている。 「な、に······」 状況が上手く飲み込めない。 どうしてここに真緒がいないんだ。 俺の真緒はどこに行ったんだ。 警察が俺を同情したような目で見る。 どういうことが説明してほしいのに、やっぱり聞きたくない。 そんな矛盾した2つの思いが怒りに変わっていく。 真子を見て、お前のせいだと言いたくなった。 けれど言葉にする手前で、声が出なくなる。 真緒が家族を守るって言っていた。真緒が守ろうとしたものを、俺が壊しちゃいけない。 その後警察に連れられて遺体が真緒本人であるかどうかの確認をさせられた。 こんな確認、したくなかった。 相変わらず綺麗な顔で眠っている。 「······笑ってくれよ」 もう1回、あの可愛い笑顔を見せて。名前を呼んで。愛してるって言って。 どうして死を選んでしまったんだろう。 全て姉である真子が企んでいたことだとわかって、消えてしまいたくなったのかもしれない。 冷たい頬に触れる。 真緒はもっと温かかったはずなのに。 今も、生きているはずなのに。 「······生きてって、祈ったのに······っ」 もう届かない声。 その日、最愛の人を亡くした。

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