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第568話

無事に学校に着いて机に伏せる俺の頭を高良がツンツンと突く。 気にはなるがそんなことよりも横腹が痛い。 「会長が遅刻なんて珍しい。何してたの?」 「ああ、ちょっと、出かけてて」 「息切れてるのは何で?」 「走ってきたから」 誉の家から駅までと学校の最寄り駅からここまでの疾走。 疲れきって今にも眠ってしまいそうだ。 「今朝千紘ちゃんに会ったよ。出かけたのは昨日の夕方頃なんでしょ?それ以来連絡もないって心配してたけど、連絡しなくていいの?」 高良の言葉にハッとする。 本当だ。昨日は結局千紘に何の連絡もしていない。 慌ててスマートフォンを取りだしメッセージを打つ。 「会長、忘れてるかもしれないけど今授業中だよ。」 「え······」 自分の顔に影が落ちる。 画面から顔を上げると目の前で教師が腰に手を当て微笑んで俺を見下ろしていた。 「赤目のいつも堂々としているところ、俺は凄く素敵だと思うな。」 「······先生」 「でも、今このタイミングで堂々と何をしてるのかな?」 あ、と思った時にはもう遅く。 スマートフォンを没収されてしまった。 まだメッセージを打っていた途中だったのに。 「放課後職員室に取りに来なさい。」 そう言われてがくりと力を無くし、机に突っ伏した。 「あらあら、お疲れ様、会長。」 高良に頭を撫でられるけど、その手を振り払う力が出てこない。 「俺は悲しい。今すぐ千紘に会いたい。そしたら元気になる」 「はいはい。もう少しで休み時間だから会いに行っておいで。」 暫くそのまま動かないでいるとチャイムが鳴って、挨拶をしてすぐに教室を飛び出し千紘の元に向かった。 廊下を走って千紘の教室のドアを勢いよく開けると、驚いた様子でこちらを見る俺の愛しい人。 「千紘」 「偉成、来てたの?帰ってこないし連絡も無いから心配してたんだよ。」 少し怒っている様子で、俺に駆け寄ってきて、両手で勢いよく顔を挟まれた。

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