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第576話
そのまま机に座った偉成。
いじわるするように何度も項や耳にキスしてくるから、正直ドキドキする。
「誉は渡に友達を作らせたいんだな。だからとりあえず誉が1番関わることの多いオメガの千紘を紹介した。」
「何で?偉成でも良かったんじゃない?」
「俺は話すのが下手くそだからな。それに3年だからもう少しで卒業だろ?折角仲良くなったのにすぐ卒業してまた1人になるより、まだ猶予のある2年の千紘達の方がいい。」
手を取られ、指が複雑に絡む。
渡君は優生君と匡と話していて、それがすごく楽しそうに見えた。
「1年なら宮間も紹介してやるか。」
「宮間さんか。うん、いいんじゃない?」
まだちょっと複雑な気持ちになる。
それを感じ取った偉成が俺の顎を掴んで無理矢理後ろに向かされて、またキスをされた。
「何も無い。大丈夫」
そして、額をコツンと合わせる。
「うん、大丈夫。」
話をしていると視線を感じて、ばっと前を見ると渡君に優生君、それから匡が俺たちをじっと見ていた。
「あの2人は運命の番なんだ。いつでもどこでも2人の世界に入るし、邪魔したら不機嫌になることもある。ややこしい奴らだけど、頼りにはなるから。ちなみに俺の兄貴」
「え、匡先輩のお兄さん?」
変な紹介を匡にされて、俺も偉成も苦笑する。
「ああ。ついでに言えば高梨先輩の幼馴染」
「ああ!そっか!さっき松舞さん、番の方が誉先輩の幼馴染って言ってましたもんね!」
じっと偉成を見る渡君は、突然俺たちに近づき、偉成の手を取った。
「誉先輩について教えてください!」
その時俺は初めて、口をぽかんと開けて間抜けな顔をする偉成を下から見上げた。
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