583 / 876
第583話 偉成side
律動を繰り返し、欲を吐き出す。
汗が零れ、ゆっくり深呼吸をする。
「千紘」
声を掛けてみたが反応がなく、ペニスを抜いて千紘の顔を覗き込めば意識を失っていた。
「······まずい」
これは後から怒られるパターンだ。
毎度毎度千紘に触れたいと思う気持ちが大きくなると、こうやって暴走してしまう。
ゴムを取ってゴミ箱に捨て、千紘を仰向きにすると、シーツが思っていたよりもぐちゃぐちゃだった。
もう1度千紘の顔を見ると、いくつもの涙の筋が出来ていて、申し訳なく思いながら頬を撫でる。
「ん······」
「千紘」
眉間に皺を寄せた千紘に呼びかけると、薄らと目を開く。
「風呂に入ろうか。シーツも替えないと」
「······偉成」
いつもよりも低い千紘の声。
あ、怒られる。
「気持ちよすぎて、いっぱい汚しちゃった······。ごめんね。」
怒られると思って身構えたのに、形のいい唇から紡がれた言葉はあまりにも可愛い。
「俺の手で千紘が気持ちよくなってくれるなら何でもいい」
「相変わらず俺のこと大好きだね」
千紘の手が伸びて、俺の首に腕が回される。
顔を近づけると、千紘からキスをしてくれて、心が満たされていくのを感じながら舌を絡めあった。
「ん······お風呂、連れてって」
「ああ。腕、そのまま回しておいて」
千紘をそっと抱き上げて風呂場に移動する。
お湯を張っていなかったから、少し寒いけど我慢してシャワーで汗と汚れを流した。
リビングに移動して、ソファーに座った千紘を見てから、ベッドの片付けをする。
それが終わって、千紘の隣に腰掛けると、ぴとっと肩同士が触れ合った。
「匡にカバン持ってきてって頼まなきゃ」
「俺も誉に頼まないとな。······ごめん」
無理矢理連れ出してサボらせて。
謝ると、頭をぐしゃぐしゃと撫でられる。おかげで髪もボサボサだ。
「もうダメだからね」
「うん」
ダメって言われても我慢出来なくてまた連れ出してしまいそうだけど、そのことは口に出さずに千紘を抱きしめた。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!