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第612話

夜は言っていた通り、ふわふわとろとろのオムライスを作ってくれた誉君。 勉強もできるし、格好いいし、料理もできるなんてすごい。 「誉君には欠点が無いね」 「そんなわけないだろ」 苦笑を零すから、俺もつられたように笑う。 テーブルの席について一緒にご飯を食べ、お皿を洗って······これが終わったらどうしたらいいんだろう。 別で住むのはやめた方がいいことはわかったし、一緒に暮らせるのは嬉しいけど、でも正直······ここでお風呂入ったり寝たりするのは恥ずかしい。 「泰介」 「はい!」 声を掛けられて驚いて肩が上がる。 「風呂入ってこい。沸かしてあるからゆっくり浸かって」 「へっ!?」 「え、何。」 顔が熱くなる。 お風呂に入る、それは至って普通のこと。 でも、でも······っ! 「恥ずかしい!」 「······はぁ?」 顔を両手で覆う。 だってだって、ここには俺の服も無いし、そうなると部屋に帰って······そのまま寝たい。 一緒に寝るってなったら、呼吸音だって聞かれるのが恥ずかしいのに。 「服無いし!俺帰る!」 「緊張してるのか?さっきセックスもしたのに?」 「······そういうこと言わないで······」 「着替えは確かにないから取りに行くか。」 誉君がそう言ってパーカーを着る。 ラフな格好なのにすごく格好いい。 人混みの中でもすぐに見つけられそうだ。 「ほら、行くぞ」 「······え、誉君も行くの?」 「行くよ。そのまま逃げられたら困る」 逃げるってバレてた。 「でも······誉君と寝るのも緊張する。ソファーで寝てもいい?」 「······わかった。それでいいから早く取りに行こう」 誉君が寒くないようにって俺に分厚いパーカーを貸してくれた。そのまま手を掴まれて、一緒に部屋を出る。 「寒いね」 そう言うと、繋いだままの手が誉君のポッケの中に入れられて胸がドキドキと音を立て出す。 温かくて······というよりも、ドキドキして体が熱くなって、それからはまともに会話ができなかった。

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