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第634話

しばらく動かないでいると規則正しい寝息が聞こえてきて、泰介の顔を見ると目を閉じて静かに眠っていた。 「ご飯食べてないのに」 起きた時に何か食べられるようにしてやらないと。 泰介に布団を被せ、静かに部屋を出る。 母さんと父さんがいるであろう部屋に行くと、食事をしている最中で、改めることを伝えると母さんに引き止められた。 「誉、座って。少しだけ一緒に食べましょう?」 「······泰介が待っているから」 「そうなの······?」 母さんは少し寂しそうな表情をして、それでも微笑んで俺に手を伸ばしてくる。 「その、泰介君が貴方の番なの?」 「······運命の番だった。」 そう言うと母さんも父さんも目を見開いて驚いた。 そりゃあそうだ。 運命の番だなんて、都市伝説でしか聞いたことないような事が起きたんだから。 「運命って、本当なの!?」 「うん。だから寮でももう一緒に暮らしてる。契約もしたし、解消するつもりもない。······真緒にも今日、ちゃんと話をした。」 母さんは暫く固まってから、ゆっくりと頷いた。 「泰介君が起きたら、また、お話聞かせてちょうだい。」 「わかった。」 1度部屋から出て、傍にいた使用人の1人に声を掛け、泰介が起きたら、食事を用意してくれるように頼んで、自室に戻る。 ベッドで眠る泰介の髪を梳くように撫で、薄く開かれている唇に、キスをした。 1度では止まらなくて、何度も繰り返しているうちに、泰介が目を開いて、柔らかく微笑みながら俺の首に腕を回す。 「誉君」 「ごめん、起こすつもりはなかった」 「······あれだけキスしてたくせに?」 くすくす笑う泰介。 その体が小さく震えているのに気が付いて、慌てて額に手を当てると、じんわり伝わってくる熱さに眉をひそめた。

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