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第635話

「熱がある」 「うん。寒い」 すぐに毛布を用意して、少しでも寒気が治まるようにそっと抱きしめる。 「ぅ······すぐに着替えればよかった······」 「そうだな」 熱のせいで、目尻からポロポロと涙を零す。 「まだ寒い?布団、もっと分厚いやつ持ってくる」 「やぁ······誉君、離れちゃやだ······」 少しでも体を離すと、嫌だと言って抱き着いてくる。 可愛いけれど、寒さで震えている様子を見ているとこっちまで辛くなってしまう。 「ごめん、いい子だからちょっと手離して。」 「ぁ、やだ······誉君がいい、離れないで······」 「寒いだろ?」 「寒くない······っ」 首を左右に振るから、優しく髪を撫でてやってそれを止めさせた。 「ん······誉君······」 「大丈夫。そばに居るから」 額にちゅっと唇で触れる。 安心したように目を閉じた泰介は、暫くすると漸く目を閉じてスっと眠りに落ちた。 泰介が眠っている間に、スマートフォンで運命の番について調べた。 そばにいれば心は穏やかになるし、匂いで感情も大体はわかる。 その事については経験済みだから理解はできる。 その他にも、番からの愛情が乏しいと感じればオメガは発情するし、アルファはオメガに噛み付くことがある。最悪の場合監禁に似たような事をして満足するまで外には出さなくなるケースもあるらしい。 「······監禁か」 泰介が他の人間に傷つけられないことを考えれば、監禁するのもいいな。 ーーいや、何を考えてるんだ。 少し冷静になって、今日泰介を傷つけた丘咲について考えることにした。

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