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第637話 泰介side
熱も完全に下がって、体も楽になった。
誉君はお風呂を用意してくれて、俺は汗をかいた体を洗う。
ーーなぜか、誉君と一緒に。
「恥ずかしいってば······」
「1度も2度も変わらないだろ。泰介の体を見るのはこれが初めてじゃない」
「わかってるけど!」
お風呂に浸かっていると、誉君が優しく髪を洗ってくれる。ついでに頭のマッサージもしてくれて、気持ちよさに微睡んでいると、その隙にキスをされた。
誉君がすごくすごく、今までとは想像できないくらいに優しく、甘くなっていて、俺はまだついていけてない。
元々、好きな人にはとことん優しい性格なんだと思う。
真緒さんの事があって、冷たくなっていたけれど、今の姿こそが本来の姿なのだろうか。
「んっ、はぁ······」
「気持ちいい?」
「うん······寝ちゃう······」
「それはダメ。溺れるよ」
泡を流され、誉君も湯船に浸かる。
抱きしめられて、肌に触れると心地よくて、誉君の首に腕を回し、ピタッと肌を密着させた。
途端、体の奥がムズムズしだす。
「ん······誉君······」
「ん?」
元々、昨日の夜にえっちしようって誉君と言ってたのに、熱なんか出しちゃったからできなかったし、正直誉君に触りたくて仕方がない。
「······誉君」
「何?言ってくれないとわからないよ」
その顔、絶対嘘だ。
俺が何を言いたいかわかってて意地悪してる。
口角を少し上げて、楽しそうに俺を見ている。
「わ、かってるくせにっ」
「わかんないよ」
誉君の首に鼻を寄せて、目をギュッと瞑る。
「えっち、したいよぉ······」
「うん、俺も。······ベッド行こう」
抱き上げられ、お風呂から出ると柔らかいタオルで体を包まれた。
「ぁ、でも······お母さん達に挨拶しなきゃ」
「今は仕事で家にいない。夜に一緒に食事しよう。だから今はこっちに集中して」
「あっ!誉君······っ」
ちゅっと乳首に触れる唇。
小さく声が漏れて、慌てて口を手で覆った。
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