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第647話

「バイトはしなくていい。俺が出すから気にするな。」 「そんなの平等じゃないよ。誉君だけお金を払って、俺はただ住まわせてもらうなんて······」 「この際だから言っておくけど、俺はお前が高校を卒業したら、大学に行きたいならそれはいいと思うけど、働かせる気は無いからな。」 「あ、えっと······この学校のオメガが言う就職ってアルファと結婚するって意味だって聞いたけど、本当なの?」 就職の意味について俺はまだ半信半疑でいたけれど、誉君が大きく頷いたことで確かな情報に変わった。 描いていた未来では俺はちゃんと働いて、誉君の誕生日や記念日にはプレゼント渡したり、食事に行ったりしていたのに。 「泰介はただ、俺の隣で好きな事をして暮らしていてくれたらいい。」 「······でも、勉強した意味が······」 「どうしても働きたいっていうなら、家の仕事を少しだけ手伝ってほしい。」 それはいつでも手伝うけど······。ちょっと不満を感じながらも、そこはアルファである誉君の言う事を聞くのがいいんだろうなと思って、渋々頷いた。 「ありがとう」 「······ううん」 どこの番も、アルファは皆こうなのかな。 オメガを離したくなくて、働かせないのだろうか。 「泰介、準備して寝るぞ」 「あ、うん。」 もう夜の10時。 明日はゆっくり帰るんだとしても、少し長い間電車に乗るから疲れてしまう。そう思って早めにベッドに横になる。 後ろから抱きしめられて、大好きな匂いに包まれながら目を閉じた。

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