666 / 876

第666話

*** 翌日、終業式が終わり寮に帰り部屋の掃除をした。 荷物を纏めていると偉成が帰ってきて、寂しいという匂いをさせながらじっと見てくる。 「すぐ会えるのに寂しいの?······このやりとり前もした気がするね。」 「寂しい。3日は会えないから」 「毎日連絡するよ」 「会いたいんだよ」 「もう」 苦笑しながら手を伸ばすと、俺の胸に飛び込んでくる。 抱きしめて頭を撫でると嬉しそうな匂いに変わった。 「あー、落ち着く。」 「今日はこうして眠る?」 「ああ」 偉成がこうして甘えてくるのは珍しい。 いつもは逆の立場だから、甘えられることが嬉しくて口角が上がる。 だから今日は沢山甘やかしてあげようと思った。 「今日は俺がご飯作ろうか?」 「忙しいだろ。いいよ、俺がするよ。」 「······じゃあ、一緒に。」 別に忙しくはないけれど、一緒に何かをするのは楽しい。 「千紘、興奮してきた」 「はぁ?」 腕の中にいた偉成が突然そう言い出して、手を動かし俺のお尻を撫で始めた。 「ちょっと。忙しいだろって言ったくせにそういうことするの?」 「······今から全力でいいホテルを取ろうか」 「え、大晦日の日に?無理でしょ」 「いや。頑張れば······。」 「こういうことするためだけに取るなら、それは必要ないと思うけど。」 そう言って手を離すと、偉成は不満そうな表情をして俺から離れた。 「特別な場所で過ごしたいと思ったんだ」 「それは嬉しいんだけどね、お金がかかるし。」 「その心配はいらない!俺が出す!」 「えー······」 そういうや否や、どこかに電話をかけ始めた。 どうやら本気でどこかに泊まろうとしているらしい。

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!