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第670話

大晦日になった。 偉成に言われていた通りに家で待っているとインターホンが鳴って、外に出れば偉成が笑顔で立っていた。 「おはよう千紘!いい天気だ!」 「若干曇ってるけどね」 「旅行日和だな!」 「すごく寒いけどね」 ダウンの前を閉めると、偉成がつけていたマフラーを首に掛けられ、くるくると巻かれる。 暖かいし、偉成の匂いがして好きだ。 「ありがとう」 「雪だるまみたいで可愛いぞ」 「······ああ、そう。」 ちょっとズレてるんだよな。 雪だるまみたいでって······あまり褒められた気がしない。 「で、どこ行くの?」 「とりあえず、車で駅まで。そこからは秘密だ」 「わかった。······あ、母さんも父さんもいるけど、上がる?」 「ああ。挨拶させてくれ。」 偉成と部屋に上がって、父さんたちのいるリビングに行く。 「おはようございます」 「偉成君!おはよう!いらっしゃい!」 新聞を読んでいた父さんも、それを置いて偉成に柔らかい表情を見せる。 「どこに行くのかは聞いてないが、千紘の楽しみのために秘密にしてるんだろ?」 「はい。でも絶対に危険なことはしないのでご安心を。」 「ああ。わかっているよ。」 母さんも父さんも、笑って見送ってくれて、俺達は偉成の乗ってきた運転手さん付きの車に乗って駅まで向かう。 「どこ行くんだろ。ねえ聞いちゃだめ?何するの?」 「期待させといてなんだが、別に遊園地とかそういう場所に行くんじゃない。ただ普通に過ごすだけ。」 「そうなの?でも休みだし、それ最高だよ。2人でゆっくり過ごしたいなぁ」 偉成の腕に腕を巻き付けて、肩に頬を擦り寄せた。

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