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第678話
お風呂から上がり、少し違和感のある腰を庇いながら、ベッドに腰かけてテレビを見る。
「このお笑い番組毎年見てたなぁ。今回は録画してきたんだよ。」
「そうか。俺はいつも歌の大合戦を見てる。」
「たまに見るけどね。チャンネル変えて今は誰が歌ってるのかなぁって」
他愛もない話をして、いよいよ年が明ける。
テレビの中の人たちと一緒にカウントダウンをする。
「5!4!3!2!1!」
テレビの中で花火が上がり、俺は偉成に飛びつく。
強く抱きとめられて、額をコツンと合わせる。
「あけましておめでとう!!」
「ああ。おめでとう。今年もよろしく」
キスをして、そのままベッドに倒れ込む。
テレビの中ではまだ、賑やかに皆が笑っていて、俺たちもしばらく抱きしめあったまま動かないでいた。
「千紘、寝たか?」
「ううん、起きてるよ」
偉成の胸に擦り寄って、クンクンと匂いを吸う。
髪を梳かれ、顔を上げると優しく微笑む偉成に触れるだけのキスをされて、なんだか胸がきゅんっとした。
「偉成」
「ん?」
「······すごくすごくすごく、これ以上ないくらいに好きだよ。」
「急にどうしたんだ。俺もだよ。愛してる」
何故だかはわからないけど、今伝えないといけないような気がした。
「明日はゆっくり起きて、ゆっくり帰ろう」
「うん。あ、偉成のご両親に挨拶しに行きたいなぁ。明日······っていうか、もう今日だけど、今日じゃなくていいけど、近いうちに。」
「嬉しい。それなら今日でいいと思う。1度俺の家に帰って、母さん達に会ったら千紘を家に送って行く。」
「ありがとう」
また偉成の胸に顔を埋める。
今度こそ、そのまま眠たくなって目を閉じた。
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