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第684話

お母さん達との話が終わると、俺の部屋に移動した。 誉君の部屋よりずっと狭いけど、誉君はなんだか嬉しそうだ。 「誉君?」 「ん?」 「なんで笑ってるの?」 誉君はずっと口元に笑みを浮かべていて、その表情も格好いいけど、どうしても理由が気になる。 「ここでずっと暮らしてたんだろ。泰介の匂いがする。」 「······俺の匂いがするから、笑ってるの?」 「まあ、そうだな。」 「······えっち」 ボソッと零すと、誉君はハッとしたのか俺から顔を逸らす。 「そ、そういう、つもりじゃなくて······」 「ふふっ、うそうそ、冗談だよ。」 「······」 誉君にジロっと見られたけど、俺は怒られないように誉君に抱きついた。俺の背中に温かい手がすかさず回る。それが嬉しい。 「初詣行かないといけないけど、もうちょっとだけここでお話しない?」 「いいよ」 「誉君に会えたの久しぶりだから、凄く嬉しいんだ。······ねえねえ、キスしたい。」 「俺も」 唇が重なり、舌を絡める。 どちらともない唾液を嚥下して、そっと閉じていた目を開く。 「どうしよう」 「何?」 「······誉君にいっぱい触って欲しくなっちゃった。」 そう言うと、誉君は俺の後頭部に触れて引き寄せられ、またキスをする。 今度こそ、窒息するんじゃないかってくらい深くキスをされた。 体から力が抜けて、かくっと膝が折れる。腰に手が回り、すぐに支えられ、床に崩れなくて済んだ。 「ん、た、勃っちゃった······」 「抜いてあげようか?」 「ぁ、う······ううん、大丈夫」 深呼吸をしていると、ふわっと体が浮いて、ベッドまで運ばれる。 「ごめん、俺がはしゃいだからだな。」 「えっ、いや、そうじゃないよ!」 「治まったら初詣に行こう。いいか?」 「うん!」 誉君にもたれ掛かり、優しく髪を梳かれるのが気持ちよくて、少しの間ぼんやりとしながら、2人きりの時間を過ごした。

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