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第703話

教室について偉成と別れた。 遅刻ギリギリだったから、匡も優生君もいて「おはよう!」と声をかける。 「おはよう。今日も時間ギリギリだな。」 「ちょっとね」 チャイムが鳴り、朝のホームルームの時間。 だけど担任の麻倉先生はまだ来ない。 「兄貴ってさ、いつ試験だっけ?」 「今月末だよ。私立はね。」 「ふーん。忙しいんじゃねえの?最近は勉強ばっかりだろ?」 「いや、俺といる時はずっと俺に構ってくれるよ。······もしかして俺、邪魔してる?」 ハッとして、匡に聞くと首を左右に振った。 「多分千紘が生徒会を終えて帰ってくるまでに勉強してるんだろ。そうじゃねえと千紘に構ってばかりでいないと思う。ああ見えても兄貴は計画性あるから。」 「それは俺も思う。」 偉成は努力を惜しまない人だから、きっと俺のいない時間に勉強しているんだ。 ······今日からはちょっと遅めに帰ろうかな。 「国立も受けるんだろ?それはいつ?」 「来月末だよ。······俺が受けるわけじゃないのに緊張してきた······。」 麻倉先生がやってきて、匡は席に戻った。 出欠をとり、軽く連絡事項を話すと先生はすぐにホームルームを終えて出て行く。 「今日もユルユルだね。」 前の席の優生君にそう言うと、クスクス笑って「そうだね」と返事をくれた。 一限目の準備をして今日も頑張るぞと気合を入れる。 けれど、授業が始まってすぐに襲ってきた眠気に耐えられず、机に突っ伏してすやすやと眠った。

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