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第710話 悠介side

今日が最後の登校日。 これが終われば俺は旭陽の家に帰って、ずっと旭陽と一緒にいれる。 旭陽のお腹はもう大きくなっていて、最近では前屈みになることが辛いらしい。 正直卒業前の思い出作りなんてどうでもよくて、早く旭陽の傍に行って、辛くないように支えてあげないとと思う。 「おはよう高良」 「あ、久しぶりだねぇ。おはよう。」 後ろの席に座った会長。 その顔を見るのは1週間ぶり。 「千紘ちゃん、発情期?」 「ああ。今回も可愛かった。巣作りしていた」 「えー、何それ、可愛い。」 俺も旭陽にしてもらいたい。集められた俺の服の中で真っ赤な顔して発情してる旭陽が見たい。 「ていうか今日で最後だね。」 「そうだな。」 会長は困ったような表情をする。 千紘ちゃんのことを思っているのだろうか。 「卒業したらどうするの?会長は進学でしょ?」 「部屋を借りて千紘とそこに住む。」 「千紘ちゃんとご両親はいいって?」 「いいも何も、そうしないと千紘の体調が悪くなる。運命の番だから余計にな。」 「そっか。······千紘ちゃんが卒業したら結婚?」 わかりやすく嬉しそうに微笑む会長。 「ああ。結婚したい。」 「子供は?」 「欲しいけど、それは千紘と話し合う。」 会長は大学に行くから、長い間1人にすることになる。子供ができたら、1人でいさせることは極力避けないといけない。 それなら俺と旭陽みたいに、どっちがの実家で暮らせばいいのに。自分がいない間は両親に傍にいてもらえる。 「実家っていう選択肢はなかったの?」 「考えたけど、多分お互いに気を遣うし······。」 人の決めたことに俺がとやかく言う必要は無い。 それに会長の言うこともわかるので、何度か首を縦に振る。 「それに千紘は結構気にしてしまう性格だから。俺と2人だけの方が自然体でいれていいと思う。」 「そうだね」 「楠本さんは元気か?」 「うん、元気だよ。でもお腹が大きいから動くのは結構大変みたい。」 そう話しているうちにチャイムが鳴って、ホームルームが始まった。

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