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第711話

最後の授業を終え、担任の先生がしみじみと思い出話をする。 『ああ、確かにそんなこともあったな。』と思いながらも気になるのは時間。 漸く話が終わり、会長と少し話をして「じゃあね」と言い学校を飛び出る。 学校自体に思い入れは無い。元生徒会のメンバーと、千紘ちゃんに赤目君、それにチビちゃんくらいしか友達はいないし。 急いで家に帰ると、旭陽が迎えてくれた。 「ただいま!」 「おかえり」 旭陽にそう言ってから、膨らんでいるお腹に触れる。 「ただいまぁ。パパだよぉ」 「······何その顔。デロデロやん」 「もうちょっとで会えるね。ママとパパに早く会いたいでしょ?」 「はよ手洗ってきて。」 旭陽に髪をクシャクシャに撫でられる。 促されて手を洗いに行き、服を着替えて旭陽の元に戻る。 「体しんどい?大丈夫?」 「今日はしんどくないよ。大丈夫。でも胎動が激しくて······」 「痛い?」 「ちょっとね」 俺にはどうしてあげることも出来なくて、旭陽のお腹をそっと摩る。 「お婆さんは?」 「庭おるよ。」 「お爺さんは?」 「昼寝してる」 旭陽が庭の方を指さす。 縁側でお爺さんが転がって眠っている姿が見えて、2人でクスクスと笑いあった。 「旭陽は何してたの?」 「午前中にお婆ちゃんと一緒にお母さんのお墓参りしてきてん。ほんでちょっと疲れたから昼寝して、それからお婆ちゃんと話したりしてた。」 「そっか。」 「悠介は?今日最後やったんやろ?皆と話してこんでよかったん?」 「うん。早く帰りたかったし、何より俺、友達ほとんどいないし。」 「まあ、俺も友達少ないしなぁ。でも悠介の友達からいっぱいお祝いもらったよ。ほとんどおらんなんか嘘やろ。生徒会の人と仲良しやん。」 うーん、と考えてから口を開く。 「元々はね、母さんに言いつけられてたから仲良くならざるを得なかったんだよ。」 「どういうこと?」 入学してすぐの頃を思い出して、少し寂しい気持ちになる。

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