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第712話
「入学してすぐに、赤目の跡取りがいるって知った。それから高梨に東條に······。うちの家じゃ赤目には適わないからね、絶対に波風は立てるなって言われたんだ。それからできるだけ仲良くしろってね。」
「······そう」
「それで俺は会長に話しかけたんだ。執拗いくらいにね。生徒会のメンバーは元々顔見知りだったけど、会長と話している内に会長の幼馴染の高梨と話すようになったし、招待されたパーティーに行ったら東條がいて話が弾んで······って感じ。」
「それが、何であんな仲良くなったん?」
「え、だって、あの会長だよ?あんなに変人なんだよ?面白くて仕方ないじゃん!」
会長は時たま、この人馬鹿なんじゃないか?って思わせてくるくらいに変なことを言う。
旭陽はそんなところを見た事がないから、納得いかないみたい。
「それと、生徒会に入るって時、色々あって会長が会長になることと高梨が入ることは決まってたんだ。それで残りのメンバーは······って俺の事を推薦してくれたの。1人くらいちゃんと生徒とコミュニケーションとれるやつがいるだろうってね。」
「······自分達がコミュニケーション取れへんっていうのは自覚済みなん?」
「みたいだよ」
くすくす笑うと旭陽も同じようにして笑う。
「それで?」と促され、また昔のことを思い出す。
「それで俺が書記、高梨が副会長って決まったんだけど、あと1人会計がいるねって話になって、その時に『そういえば東條の家は銀行が有名だったな』って思い出してさ。誘ってみたらすぐに了承の返事をくれたんだ。」
「そんな感じで決まったんや。」
「うん。割とすぐに決まったよ。東條なんか暇だからいいよって感じだったし。それでも真面目に仕事してたから偉いよね。」
俺は最初はほとんどサボっていた。
有名な『赤目』をはじめ、『高梨』と『東條』と仲良くするために必死だったから。
でもその内4人でいるのが居心地良くなって、楽しくて······。
「いい奴らだったなって思う。」
「やっぱり友達やん。」
確かに、ちゃんとした友達。
今ではあの3人になら何でも話せるし、相談できる。
「あら、悠介君。おかえりなさい」
「ただいま」
お婆さんが庭から戻ってきて、にこやかに微笑んだ。
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