722 / 876
第722話
暫くして偉成と先生が戻ってきた。
匡と優生君は先に教室に行くように言われて出ていき、保健の先生も麻倉先生と少し話をしてから部屋を出て行った。
「さっき赤目と話したんだが、警察に相談しよう。」
「······」
「これはストーカーだ。何かあってからじゃ遅い。」
「······あの、俺、でも······怖い······」
警察に言って、逆恨みをされたら?
今度は写真じゃなくて、襲われるかもしれない。
それに他にも不安なことがある。
「逆恨みされたら、怖い。襲われるかも、しれないし、俺だけじゃなくて······偉成や、匡や優生君にも何かされるかもしれない······」
そんなの嫌だ。
俺のせいで誰かが傷つくのなんて嫌。
「こ、これ、多分、あの人じゃ、ないかなぁ?話したら多分、やめてくれるよ······」
「話してやめるような奴に見えたか?」
「で、も······」
偉成の厳しい声が鼓膜を揺らす。
でも、だって、怖い。
俯く俺の背中を撫でた先生は、優しい声で諭すように話してくれる。
「これは松舞が決めることだから、どうしても嫌なら別の方法を考えよう。写真の中には学内で撮られたものもあった。暫くは敷地の中でも1人にならないこと。まずはそれを約束してくれないか?」
「先生、それだと何の解決にもならない。」
「松舞の気持ちが1番だ。」
偉成の言葉に強く返した先生は、俺の頭を撫でると「今日は帰ってゆっくりしろ」と俺の荷物を偉成に渡し、寮まで送ってくれることになった。
「赤目、お前も1人になるなよ。松舞の番だからって狙われる可能性はあるんだからな。」
「わかりました」
寮に着き、部屋に入ると途端に力が抜けた。
どうやら安心して一気に脱力したみたいだ。
「大丈夫か?」
「うん······ごめんね、わざわざ来てもらって」
「いや、どっちみち俺も気になっていたし、気にしなくていいよ。」
抱っこされてソファーまで運ばれる。
至れり尽くせりで申し訳がない。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!