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第724話
「両親に頼んでみよう。」
「何を······?」
「やっぱり千紘が直接会うのは危険だと思う。だから、俺達が信頼してる人達に傍にいてもらう。千紘は別室で待っていてくれればいい。俺があいつと話をしよう。」
「······で、でも、どうやって?」
聞けば、今はまだ偉成の考えていることはできるかどうかが分からないから、できるとわかった時に説明してくれると言う。
「まずは連絡してみるよ。ちょっと待っててくれるか?」
「······わかった。」
体が離れ、今度は偉成が寝室に消えていった。
偉成はどうするつもりなんだろう。
ぼんやりと何も映っていないテレビを見る。
偉成が寝室から出てくるのをそのまま、じっと待った。
***
それから数日後の土曜日。
偉成は準備が出来たと言って真剣な顔で俺を見ては、柔らかく微笑む。
「今日、俺が1人で外に出る。傍には俺の信頼してる人がいるから安心してくれ。千紘のストーカーなら俺を千紘から離そうと何か仕掛けてくると思う。そこであの男と交渉する。落ち着いて話がしたいって伝える。」
「······危なくない?」
「大丈夫。」
そっと抱きしめられて、優しい偉成の匂いに安心できる。
「······うん」
「千紘は待っていてくれ。話が終わったら伝えに行くから」
「······解決、できなかったら?」
「解決してみせるよ。」
髪を梳かれ、ほっと息を吐いた。
準備をするように言われ、服を着替えて偉成と一緒に寮を出る。
そこには知らない男性が2人立っていた。
「千紘、さっき俺が言った俺の信頼してる人達だ。母さんと父さんの知り合いで警察の方だ。この方々に性別に対する偏見は無い。大丈夫だ。」
雰囲気が少し怖くて、偉成の後ろに隠れる。
失礼だってわかっているけれど、止められない。
「行こう。」
偉成に手を引かれ、車に乗るとゆっくりと進み出した。
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