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第732話

*** あれから数日経った。 日常が戻ってきて楽しく過ごしている中で、刻々と寂しさは増してくる。 あとほんの少しで偉成の卒業式だ。 本当、両手で数えられるほどの日数。 卒業式の数日後には国立大学の試験があって、卒業してもゆっくり出来ないのは少し気の毒。 「それで、この家を借りようと思うんだ。どう思う?」 「いいと思う。ここならどっちの大学でも通える距離なんだよね?」 「ああ。それに白樺(ここ)にも。」 近くで部屋を借りて、俺も4月からはそこから学校に通う。 運動で歩いて通ってもいいし、自転車を買うのもいいな。 「偉成は大学までどうやって通うの?」 「車だ」 「うん?」 「受験が終われば免許を取りに行く。通学にも使うが、千紘が卒業したら子供もいつ出来るかわからないだろ?千紘とドライブにも行きたいし、家族で出かけるなら免許と車はあった方がいいだろ?」 なんだか嬉しくて、寂しさが少し紛れた。 「待って、車も買うの?」 「買うよ。」 「······お金は?」 「ある」 偉成がお金持ちだってことは知っているけれど、なんてことないという風に言うから困ってしまう。 これから先もずっとこんな調子だと、お金はいくらあっても足りない気がする。 「車を買うのはわかった。でも偉成、これからは先にこういうことにお金を使うって教えてほしいな。」 「わかった」 「俺は偉成に止められてるから、進学も就職もしないでしょ?だからそんな俺にこんなこと言われる筋合いはないって怒るかもしれないんだけど······お金は大切に使いたいな。」 「怒らないよ。千紘の思うようにする。」 隣に座っていた偉成が俺の膝に頭を乗せる。 サラサラな髪を梳いてあげると、気持ちよさそうに目を閉じた。 「勉強疲れちゃった?」 「······ちょっとだけ。勉強が疲れたっていうより甘えたかった。」 「そうなの?じゃあいっぱい甘やかしてあげる」 くしゃくしゃと髪を撫でてから、背中を屈めてキスをする。 くすくす笑う偉成につられるように俺もくすっと笑った。

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