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第733話
俺の膝で眠る偉成。
昨日は日を跨いでも勉強をしていたから、きっと疲れているんだろうな。
膝枕をしているから動けない。
それでもたまにはこんな事もいい。
何もしないで偉成の寝顔を眺める。
綺麗な顔だなぁ。
「大好き」
頬を撫でて、耳を摘む。
イタズラしたくなって、ふにふにと耳朶や頬をもんで遊んでいると「千紘」と柔らかい声が名前を呼ぶ。
「あ、起こしちゃったね。」
「起こす気だったんだろ?」
「ううん。イタズラしたくなっちゃったの」
「可愛いイタズラだな」
上体を起こした偉成はふわふわと欠伸をして、軽く伸びをして立ち上がる。
「散歩にでも出かけるか?暇だろ?」
「ううん。一緒にいれるからそれでいい」
「本当に?」
「うん。ねえねえちょっとここに座って」
足の間、床に座ってもらい、俺は偉成の後ろで目の前にある肩を掴む。
ぐっぐっと押すと思っていたよりもずっと固くて、すごく凝っている。
「いつもお疲れ様」
「ありがとう······気持ちいい······」
そのうち偉成はこくこくと船を漕ぎ出して、また現れた悪戯心が勝手に動き出し、背中を屈めて項に噛み付いた。
ビクッと大きく肩を震わせた偉成が顔を上げて勢いよく振り返る。
「そ、それは、誘ってるのか」
「え······違うよ。」
いつも項を噛まれるのは俺だから、ちょっとした仕返しみたいなもの。
思ったより反応が良くて楽しい。
「項を噛まれることなんてそうそう無いからすごく興奮した」
「······ダメだよ。まだ明るいし、疲れてるでしょ?」
「······わかった」
潔く引いてくれた偉成にホッとして、もう1度前を向いてもらい、マッサージを再開した。
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