740 / 876

第740話

卒業式から数日経ち、偉成の受験があった。 そして3月の中頃、俺が春休みに入った頃に合否発表があり、偉成は無事に合格。 4月からは国立大学に通うことになった。 それまでに教習合宿に通って、免許を取ったのが昨日。 教習から帰ってきたのは一昨日で、せっかくの休みなのに偉成とイチャイチャする時間は全くなかった。 なぜなら、明日からは学校が始まる。 「何でこんなにギリギリなの!」 「元々話してただろ。帰るのは今日だって。」 「でも······でも、明日から学校じゃんかぁっ!」 少しだけ喧嘩をして、エッチして仲直りしたのが日付を跨いだ頃。 朝になってまだ眠たくてだるい体を起こし、学校の準備をしてローテーブルを前にして床に座る。 「いーっせい!」 「何だ」 「大学で綺麗な女の子や可愛い男の子にアプローチされても惹かれちゃダメだからね!」 「惹かれないよ。千紘がいるのに。」 「······虫除けで俺のフェロモンいっぱいつけとく?」 「千紘のフェロモンに反応するのは俺だけだから意味が無いな」 テーブルに朝ご飯が置かれる。 いい匂い。お腹がすいた。 「いただきます」 手を合わせてそう言い、箸を持った。 窓から見える外の景色。 桜色が溢れ、柔らかな鳥の声が響く。 END

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!