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悠介と旭陽
目を覚ますと広いベッドで一人で転がっていた。
カーテンから漏れる朝日。
ぼんやりしながら時計を見ると朝の九時前。
「っ!?」
慌てて起き上がり、リビングに行くと悠介と夕陽が二人でテレビを見ていた。
幼児向けのアニメ番組で夕陽は楽しそうにしている。
「ぁ、あ……おはよう……」
「あ、旭陽おはよう!」
テレビに夢中の夕陽は俺に目もくれず、悠介は今日も百点満点の笑顔で返事をくれた。
「ごめん、こんなに寝るつもりちゃうくて、ほんまに……あ、朝ご飯ちゃんと食べた……?」
「こんなにって……そんなに寝てないよ。ていうか昨日も、あれは寝たんじゃなくて気絶しただけだからね。朝ご飯は食べた。」
「気絶……?」
「そう。本当数秒で落ちてるからびっくりした」
アニメ番組のエンディング曲が流れる。
キャラクターのダンスを真似て踊る夕陽が可愛い。
「あとで夕陽と公園に行ってくるね。」
「あ、うん。」
「いつも本当にごめんね。ちょっと、暫くは仕事少なくするよ。」
「いいよ。お義母さんに怒られちゃう。」
お義母さんは厳しい人やから、夕陽が産まれた時も「女の子か」と落胆されたし、子育てが始まって自分にかまってる暇もなく適当な服を着ていたら、突然家にやって来たお義母さんに「みすぼらしい」って言われてしまった。
同じ母親で子育ての大変さ知ってるやろうと思っていたけど、どうやらお義母さんはベビーシッターさんや家の掃除をするお使いさんがいたからそんな事はなかったみたい。
じゃあ俺もそうすれば?って言われるかもしれんけど、お金だって掛かるし、他人を家に頻繁に入れるのは嫌やし、何より……夕陽は自分の手で育てたい。
「旭陽……。ごめん。本当に……」
「ううん。」
最近ずっと考えていることがある。
夕陽がもしアルファじゃなかったらってこと。
お義母さんは性別に拘り過ぎていて、これで夕陽がアルファじゃなかったら、俺達は一体どうなるんやろう。
そんな先の不安に襲われて、それのせいで最近ずっと体がしんどいんやと思う。
「夕陽、よかったね。パパが公園連れてってくれるって!」
明るい声を出して、膝をおり夕陽と目を合わす。
バンザイをして喜ぶ夕陽を、誰にも傷つけられたくない。
「ママも、こーえんいく?」
「んー、行こうかな?」
「えー、だめだよぉ!」
そう言うと思ってました。わかってました。
イヤイヤ期が本格的に始まったら、多分俺は疲弊してしまうやろうなと思いながら、苦笑を零した。
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