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朝帰り事件
習慣で朝の七時に目が覚めた。
ベッドには自分一人だけ。リビングに出ても誰も居なくて、ふぅ、と息を吐く。
朝の準備をして、ご飯を食べ、カフェラテを飲む。
時刻は八時。未だ偉成は帰ってこない。
やけに冷静な頭。スっとスマートフォンに手を伸ばして俺と匡と優生君のグループチャットに『話がしたい』メッセージを送る。
すぐに既読がついて、直後に優生君から電話がかかってきた。
「おはよう千紘君!僕も匡君も行けるよ!いつものカフェでいい?」
「うん」
「何時にする?どうせなら一緒にランチしようよ。」
「じゃあ、十一時は?ゆっくり話したいな」
十一時に三人で集まることになり、少し気分は上がる。
二人に会う前にショッピングに行こうと思って、九時半に家を出ようとした時、ガチャっと玄関のドアが開き、うるさい足音が聞こえリビングに慌てて入ってきた偉成は焦った表情で俺を見た。
「おかえり」
「……た、ただいま」
「匡と優生君とランチに出かけてくる。」
バッグを持って、偉成の横を通り過ぎ玄関で靴を履く。
オロオロしながら俺の後ろに立つ偉成は何かを言おうとしては口を閉じる。
「いってきます」
「ぁ……行ってらっしゃい……」
外に出てドアを閉める。
途端にふつふつと沸いてくるのは怒り。
なぜ先ず素直に謝らない。
とりあえず『遅くなりそうだったら連絡をする。』と言っていたんだから、朝帰りをしたことに対して謝罪をしろ。
そう思いながらズンズンと足を進め、ショッピングモールに着いてイライラしながら服を漁った。
***
約束の時間になる頃には両腕に沢山のショッパーを抱えていた。
普段はお金が勿体ないからあまり買わない洋服も、気分の一つでこんなに買ってしまうんだとわかった。でもおかげで少しスッキリしている。
そんな状態で待ち合わせのカフェに行くと、二人は俺を見て何かを察したのか苦笑を零した。
ランチセットを頼み、ついてきたドリンクを飲みながら話すのは昨夜の事。
匡は額を押さえて「バカ兄貴が……」と呟く。
「連絡ないのは心配だよね。」
「そうなの!連絡するって言ったくせに連絡しなかった挙句!今朝!会った時にそれを謝らなかった!」
自分の言った言葉に責任を持って欲しい。
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