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執拗い人 寒沢side
特定の相手を見つけるより、不特定多数の誰かと遊ぶ方が楽だ。
卒業すれば見合いをさせられる未来が待っていて、だからそれまではちゃらんぽらんに過ごしていても親は何も言わない。
「あ、またサボってる」
「……宮間」
生徒会はもうすぐで引退。
次に生徒会として入ることが決定しているオメガの宮間は、中庭のベンチでぼんやりしていた俺を見つけて声をかけてきた。
「怒られちゃうよ。赤目さんに」
「別に、あいつに怒られたところで何も無い」
「……まーたオメガ探してたん?」
「オメガじゃなくて、遊ぶ相手。」
「遊ぶ相手ねえ……」
隣に座った宮間は俺と同じように何をするわけでもなくぼんやりと時間を過ごしだす。
「……お前も怒られるぞ」
「赤目さんは怖いからなぁ。偉成君はそんな事ないけど」
「赤目の兄貴と知り合いか」
「うん。優しい人やから、千紘先輩が羨ましい。」
宮間は赤目の兄貴のように、番を誰よりも大切にする優しい人がタイプらしい。
「アルファなら皆そうだろ」
「寒沢先輩がよく言えるね。あんたそういう人やないでしょ。」
「まあ、そうだな。」
「あーあ、あんたがもうちょっとまともだったらなぁ」
「何だそれ」
よく本人を目の前にして『まともなら』なんて言える。
「ねえ寒沢先輩、遊ぶ相手一人に絞らん?」
「あー……一人か。絞れないな」
「何で?」
「呼んだ時にいつでもそいつが来れるとは限らないだろ。」
「成程。じゃあいつでも来る相手ならいいんや?」
「そうだな」
日差しがポカポカしていて暖かい。
夏の前のちょうどいい季節。もう少しで半袖で過ごせそうだ。
「寒沢先輩のタイプは従順ってこと?」
「知らない」
目を閉じると眠れそうで、くぁぁっとあくびが溢れる。
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